血液ドロドロ/サラサラの分岐点

 

 動物性脂肪のさらなる害として、血液をドロドロにすることがあげられます。血液がトロトロかサラサラかは、毛細血管の中を血液が滞りなく流れているかどうかの問題です。

 

 毛細血管の直径は、七ミクロン。一ミクロンは○・OO一ミリメートルですから、非常に微細なことがわかります。私たちの心臓から押し出された血液は動脈をとおり、最終的には毛細血管を流れて、体のすみずみにまで供給されます。毛細血管を血液がサラサラ流れているということは、全身にくまなく酸素や栄養がいきわたると同時に、老廃物を回収するという意味において、とても大事なことなのです。

 

 毛細血管の直径に対し、赤血球の大きさは同じくらいの七ミクロンですが、白血球は直径が二十ミクロンもあるため、白血球が毛細血管内を通過する時は、自分の形状を変え、アメーバ運動をしながら移動しています。活性酸素が多いと、白血球に血小板が付着して「ダマ」になるので、末梢循環が悪くなってしまいます。

 

 赤血球の方はギリギリの大きさなので、ちょっと細いところにくると、体を変形させて毛細血管を通ります。けれど、動物性脂肪(飽和脂肪酸)が多いと、赤血球の膜が固くなり、変形する能力が低下してしまいます。同じ脂肪でも、魚の油など不飽和脂肪酸の中でも「n-3系」と呼ばれるものは、赤血球の膜を柔らかくする作用があります。

 

 オランダで四万人を対象に疫学調査を行ったところ、肉中心の生活をしていた人は、魚をよく食べる人に比べて認知症になる率が四〇%も高かったという報告が出されています。がんの場合も、末梢の血液循環が悪いと、老廃物が溜まったり、白血球など免疫が行き届

がん再発を防ぐ完全食:済陽高穂著より