海藻とキノコとミネラルバランス

 

海藻やキノコにも、さまざまな免疫賦活物質が含まれています。

 

 海藻は、人古の時代から保存食として用いられてきた食材で、カリウムやカルシウム、ヨード、鉄などミネラルが豊富に含まれています。そして、忘れてはならないのが食物繊維。アルギン酸やフコイダンなど糖々の食物繊維は、ナトリウムやコレステロールを体外に排泄する働きがあるので、海藻は、高血圧や高脂血症の予防食品としてよく知られています。

 

 がん予防という点では、ヨードが注目されます。ヨードは甲状腺ホルモンの材料で、甲状腺に集まる性質があります。そのため、放射線などを浴びた時にも、あらかじめヨードで甲状腺を満たしておくと、甲状腺がんを防ぐことができます。また、フコイダンは血液中で免疫を活性化するインターフェロンを増やし、がん予防に効果があると期待されています。さらに、海藻には、カリウムがナトリウムの上倍も多く含まれ、細胞内外のナトリウムーカリウムパランスを保ち、細胞の老化を防いだり、がん化した細胞の正常化に役立ちます。

 

 こうした栄養素が凝縮している部分が、根ゴングです。私は、毎朝小さく切った根ゴングを緑茶に入れて飲み、数十分して今度はやおらかくなった根ゴングを口に入れて、出勤するのが習慣になっています。がんを含めて生活習慣病の予防に役立てたい食材です。

 

 一方、キノコ類の免疫賦活成分として有名なのが、シイタケのβグルカンです。

 

 かつて日本のシイタケには絶対に抗がん性があるということになり、βグルカンを中心にしたレンチナンという注射薬の抗がん剤が作られました。私たちも使ってみたのですが、さほど効きませんでした。治験結果で二割の患者さんにも効きませんでした。それで、免疫を賦活するレンチナンはがんにはあまり効かないのではないか、ということになったのです。

 

 ところが、近年ナノテクノロジーの進歩により、βグルカンを非常に小さな粒子(五μメートル。μメートルは匸こりの千分の一の耻十位)にすることが可能になりました。こうして微粒fの飲み薬にしてβグルカンをたくさん飲んでもらったところ、これが俄然、効果が出てきたのです。

 

 以前は、粒子が大きかったので小腸からの吸収が悪かったのですが、小さくなったことで吸収がよくなったのです。こうして小腸に吸収されたβグルカンは、パイエル板という腸のリンパ組織を刺激して、リンパ球を増やし、増えたリンパ球は血液に移行して、がん患者の免疫力を格段に向上させます。

 

 すでに臨床試験が行われ、βグルカンの飲み薬はおもに進行・再発胃がんに効果が認められています。

 

 このシイタケのレンチナン以外にも、キノコにはカワラタケのクレスチン、スエヒロタケのシゾフィランなど、いくつもの免疫賦活作用をもつ成分が見つかっています。漢方医学でポピュラーな、サルノコシカケもキノコの一糖です。

 

 こうした成分を取り入れるために、キノコは毎日の食事で積極的にとって欲しい食品です。その際、樹の成分をちゃんと吸収して育ったキノコを選んで食べてください。キノコの成分は、栽培環境によってかなり含有量などが変わることがわかっています。原木栽培でなく、人工栽培の日が当たらないところで育ったものは、がん治療には避けた方がいいのです。

がん再発を防ぐ完全食:済陽高穂著より