古代からの滋養強壮食品「ハチミツ」

 

ハチミツは古来、滋養強壮の食べ物として珍重されてきました。古代エジプトの遺跡の壁画には養蜂の様子が描かれていますし、旧約聖書では、イスラエル人の約束の地カナンのことを「乳と蜂蜜のながれる場所」と記しています。

 

 そうしたいにしえより、ハチミツはまた薬でした。

 

 ハチミツはpH4ぐらい、つまり弱酸性で腐敗しません。さらに強い殺菌力があるので、食用のみならず、傷の手当てにも使われてきたのです。最近のオーガニックブームてハチミツの効用が見直されて、ハチミツ入りの石鹸やクリーム、リップクリーム、化粧品などさまざまな日用品に利用されています。これも、ハチミツには皮膚の保湿や殺菌、再生などに効果があるがらです。

 

 ハチミツの甘さは、ほとんどが果糖とブドウ糖によるものです。そのため、カロリーも砂糖より少なく、血糖値への影響も少なくてすみますし、この果糖が皮膚の保湿にも有効なのです。弱酸性で過酸化水素を放出するので、皮膚に付着した雑菌が増殖するのを防いでくれます。

 

 ハチミツにはビタミンやミネラルも豊富です。亜鉛などは皮膚の代謝や活性化に作用し、ビタミンKは止血作用もあります。したがって、古来、傷口にハチミツを塗ってきたのも十分意味のあることです。

がん再発を防ぐ完全食:済陽高穂著より

 

 

 

蜂蜜:一日大さじ二杯、混ざり物には注意する

 

 高血圧の研究で知られる京都大学名誉教授の家森幸男先生は、財界の長寿村を探訪してその理由を探っておられました。家森先生によると、百歳長寿が当たり前のように多い、中央アジアカフカス地方(グルジアアゼルバイジャン共和国)では、甘味料は全てハチミツだそうです。ハチミツで腸内に雑菌が増殖するのを防ぎ、郷十食であるカスピ海ヨーグルトて善玉菌を増やす。自然と腸内環境を整えて、免疫を高めているのです。ハチミツを薬として、なめる習慣があるそうです。 こうしたことから、私は患者さんには「一日に大さじ一杯はハチミツをとって欲しい」とお話ししています。ただ、最近はミツバチがせっせと集めてくれるハチミツも、人間の事情で農薬が混入していたり、輸出や長期保存のために薬物が混ぜられることもあります。 せっかくの自然からの贈り物が、台無しにされているわけですが、ハチミツを選ぶ時にはなるべく純度が高く、混ざり物がないものを選んでください。

 

 私は、ミカンやレモンのハチミツが好みだったのですが、混ざり物である疑いを払拭できない場含には、アカシアやニュージ上フンドの樹木の花からとれるマヌカのハチミツを食べています。マヌカのハチミツは、粘膜の保護作用に優れているだけではなく、最近、胃潰瘍や胃がんの原因とされる「ヘリコバクター・ピロリ」に対する抗菌作用が他のハチミツに比べ、七~八倍高いことが報告されています。直接的な意味で、胃がんの予防にもなるのです。

 

 もうひとつ、ミツバチからの贈り物で忘れてはならないのが「ビーポーレン」、ミツバチが運ぶ花粉団子です。花の中に顔をつっ込んで働いているミツバチをよく見ると、後ろにタンゴのように、たくさん花粉を付けていますね。この花粉は、ミツバチにとって越冬にも耐える大切なタンパク源であり、女王蜂を育てたり、産卵にも不可欠なものです。

 

 この花粉団子には、ビタミン、ミネラル、アミノ酸が豊富に含まれ、ミツバチが花粉を丸めるとき使う、自分の体から分泌する酵素も各糖含まれています。この花粉団子の中には栄養素もたくさん含まれていますが、とくにビタミンは葉酸と一緒にとると、赤血球を増やして貧血を改善する効果があり、免疫細胞に対する賦活作用が際立って高いことが知られています。ヨーロッパではこの花粉団子を、古くから「完全食品」とみなしてきました。

 

 進行がんなどで抵抗力が低下した患者さんには、滋養強壮、免疫の賦活、貧血の改善、腸内環境の改善など、大変利用価値の高い食品だと思います。ハチミツレモンにしたり、飲みものに入れるなどして、毎日とってほしい食品です。

がん再発を防ぐ完全食:済陽高穂著より