散剤の調剤上の注意事項

 

 

(1)コンタミネーション(汚染)の防止

 

 散剤調剤は一つの器具で多種の医薬品を取り扱う場合が多い.例えば秤量紙,スパーテル,調剤用ふるい,乳鉢,乳棒,包装機のシュート,受け皿などは繰り返し使用するため医薬品が残存し,これが次の調剤時のコンタミネーションとなる可能性がある.謌剤薬の適正使用の観点からコンタミネーションについては十分考慮することが必要である.また調剤室の空調設備の完備,除塵対策も必要である.

 

(2)装置瓶の取り扱い

 

 医薬品を装置瓶に充てんする際,充てん誤りを防止するよう十分心がける必要がある.装置瓶から医薬品を秤量する際も,装置瓶の取り違いのないように薬局内でルールを作って適正に行われるように注意しなければならない_

 

散剤交付時の注意事項

 

(1)薬剤交付に際してはまず処方せんと薬袋を照合して患者の氏名および用法の記載に誤りのないことを確かめ,次に患者を確認して交付する.あらかじめ処方せん受付のときに処方せんと同一番号を記した番号入り薬剤引換券を患者に渡しておくのがよい.

 

(2)梅雨期,夏期など湿気の多い時期には,多少でも湿潤性のある医薬品は防湿薬包紙で包装し,患者に交付する際,缶などに入れて保存するよう指示する.

 

(3)組み合わせ散剤は必ず白,青と組み合わせて薬袋に入れ,必ず一緒に服用するよう説明する.

 

(4)錠剤,カプセル剤などを別包とした場合は,その容器または薬袋に服用方法を表示するだけでなく,口頭で患者によく説明し,特に服用ごとにその数が異なる場合は懇切な注意を要す なお,エンテリックコーティンダ錠,糖衣錠,カプセル剤,丸剤などは,かみ砕かないで服用するよう説明する.

 

(5)服用時間については,抗てんかん剤,抗生物質などは血中濃度を平均して維持するため,また降圧利尿薬,経口糖尿病薬などは特に過量の服用を避けるため,指定の時問を厳守するよう説明する.

 

(6)鉄剤は茶,コーヒーなどタンニンを含有する飲料とはなるべく飲用を避け,またサルファ剤やキノフェンなどは尿路結石の原因となることがあるので,尿量を増すために多量の水で服用するなどの注意も必要である.テトラサイクリンは牛乳や乳製品あるいは, Al, Mg含有制酸剤と服用すると吸収をさまたげるため,同時服用を避けるよう指導する.