透析療法の合併症

 

 透析療法は腎臓のはたらきを代用する手段ですが、腎臓の持つ多方面のはたらきには到底及びません。透析開始時より問題となる合併症、また、透析療法が長期に及んだ時に問題となる合併症があります。

 

 透析患者の貧血 透析患者の貧血の主な原因は、腎臓の組織の荒廃に伴なう造血ホルモンのエリスロポエチンの産生量の減少です。貧血が放置されると腎不全の進行は速くなります。また、透析療法に入ってからの生存年数を短くしま子。

 

 日本の透析患者の七〇%以上がヘモグロビン値一一グラム/デシリットル以下の貧血を呈していますが、欧米では同レベルの貧血は三〇%以下にしかみられません。なおヘモグロビンの正常値は男性で二号五~一七・六、女性で二こ二~二五・ニグラム/デシリットルです。

 

 日本ではエリスロポエチン三〇〇〇単位を週に三回までしか投与できませんが、欧米ではその二・五倍まで投与できます。

 

 日本の透析患者の貧血はエリスロポエチン投与量の少なさが第一の原因と思われ、保険上の 制限をもっと緩和すべきですが、エリスロポエチンは三〇〇〇単位で五二五一円と高価なので、医療費抑制策から制限が緩和される見通しはほとんどありません。また日本の透析患者では身体のなかの鉄分も血液検査で調べると欠乏傾向にあります。