ピロリ菌も殺す乳酸菌

 

 腸内細菌は病原菌の増殖を防いだり、腸の蠕動運動(消化器において、周期的に収縮を下部に伝え、内容物を肛門部へ移動させる大腸の運動)を高める、消化吸収力を高め、脂肪の代謝を活発にする、ステロイドホルモンやビタミンの産生など、さまざまな働きをしています。

 

 ピロリ菌という言葉に聞き覚えのある方も多いと思いますが、乳酸菌は、腸の粘膜だけではなく胃粘膜を保護する作用があり、最近では乳酸菌が「胃がん」の原因になるこのピロリ菌を殺すことが報告されています。塩はピロリ菌と相乗して胃壁を傷め、胃がんを促進します。無塩食に加えて乳酸菌を補給すれば、一層効果的に、がんを抑え込むことができます。

 

 ヨーグルトを食べて善玉菌が増加すれば、悪玉菌の増殖は自然に抑え込まれていきます。このように、乳酸菌という生物を外から直接補充して悪玉菌を抑制することを「プロパイオティクス」、一方、乳酸菌はオリゴ糖などをエサに繁殖します。こうした乳酸菌が増殖するための栄養源を補給して繁殖を促し、悪玉菌の増殖を抑える仕組みを「プレパイオテイクス」と総称しています。

 

 オリゴ糖にもいくつか糖類がありますが、「フラクトオリゴ糖」はタマネギやニンニク、トマトなどに含まれます。済陽式食事療法では、ヨーグルトによって乳酸菌を補給し、さらに野菜や果物を大量に摂取して、プロパイオティクス、プレパイオティクスの両面から、善玉菌を増やすことができます。それとともに、悪玉菌を増やす方向に働くもの、四本肢の動物の肉を禁正して、幾重にも腸内細菌のバランスを促すことを行っているのです。

がん再発を防ぐ完全食:済陽高穂著より