外用散剤

 外用散剤は主として皮膚粘膜のびらん,湿疹,潰瘍面などに散布剤として用いる.散布剤は皮膚表面を機械的に保護し,乾燥し,あるいは冷却するために用いられる.したがって散布剤は皮膚面に適当に付着性を有し,化学的および生理的に影響がなく,薬物の作用を阻止するものであってはならない.散布剤の粉末の粒子径は用途に応じて適当な粒子のものを選ぶべきである.たとえば鼻腔および咽喉に噴霧するものは微細な粉末でなければならない.日本抗生物質医薬品基準の製剤総則では75μm以下と規定している.

 

 散布剤には,そのまま単独で用いる場合と基剤として他の薬物を混合して用いる場合とがある.すなわち,粉末薬剤をそのまま滅菌して用いる場合と亜鉛華デンプンのように基剤そのものを混合したもの,また,主薬に基剤,安定剤,滑沢剤,緩衝剤,保存剤,着色剤,芳香剤を加えて製することもある.通例,次の散布剤用基剤が用いられる.

 ①タルク

 化学的にきわめて安定な物質である.脂肪ようの感触があり,滑沢性,付着性および被覆力は良好で,滅菌も容易である.欠点としては疎水性が弱い.

                   ②酸化亜鉛

 弱塩基のため酸を中和し,緩和な殺菌消毒作用を有するが,滑沢性に欠けるところがある.

 ③デンプン

 付着性と滑沢性にすぐれている.粒子は細かく,吸湿性も高いとされている.

 

 バレイショデンプンは付着性は良好であるが,コメデヅプンのばうが軒決で冷却作用は良好である.欠点としては,水分によりのり状となり,細菌に対して良好な培養基となる.したがって散布剤基剤としてはデンプンのみではなく,タルクなど他の安定性のあるものを加えるのがよい.

 

 ④アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネート

 アルミニウムクロロヒドロキシアラントイネートは損傷皮膚組織の修復作用をもち,工g中60 mgを含有する製剤が市販されている.このものは患部に直接散布することにより,鉗盾,皮膚潰縦など損傷皮膚組織の修復と分泌物の吸着により,患部の乾燥,治朧を促進するものである.

 

(適応)褥瘧,手術傷,熱傷・外傷における皮膚のびらん,潰蕩.

 ⑤滅菌散布剤

 散布剤の滅菌は熱伝導が悪いので高温を必要とするからむずかしい.この高温に耐えられない散布剤は,あらかじめ200度で滅菌したペトリ皿上に薄めて広げて100~150度で2~3時間均等に熱がゆきわたるようにときどきか訓昆ぜなカマら加熱滅菌する.熱に安定な散布剤は適当な容器に入札, 180度で1時問滅菌する.また,加熱に耐えられないものでは紫外線照射によって滅菌する場合もある.

 

 サリチル酸亜鉛華デンプン

[処方] サリチル酸

    酸化亜鉛

    バレイショデンプン

全 量

Salicylic Acid

Zinc Oxide

Potato Starch