沢井製薬

沢井製薬ジェネリック最大手です。ただそれは日本国内だけのことで、海外のジェネリックメーカーとの経営規模の格差は、メジャーリーグ高校野球の差以上にあるでしょう。それだけ国内では、ジェネリックは長らく日陰の存在であったと言えます。
そのジェネリックの存在が注目され始めて久しい。2006年に漢方薬様式を変更しジェネリックの処方増加を促したのを皮切りに、2008年には処方箋様式を再度変更し完全代替調剤をほぼ可能とすると同時に、調剤報酬でもジェネリックの処方に対するインセンティブを導入しました。
この間に政府目標として、2012年までにジェネリックの数量シェアを30%以上にすることを決定しました。しかし、一連の流れに国内のジェネリック沢井製薬が乗っているかというと、なかなかそういうわけにはいきません。やはり国内における先発品の圧倒的な存在感に加えて、ジェネリックに対する不信感が重く伸し掛かっています。
こうした中で沢井製薬の戦略は、地道に自社のプロフィールを上げていくことです。
そのための生産能力増強や人員確保、研究施設などへの先行投資がかさんだ結果、営業利益の伸びがスローダウンするというジレンンマに陥っています。この状況から抜け出すためには、やはりジェネリックの数量増が不可欠です。ジェネリック市場全体の拡大と、その中で沢井製薬ブランドの製品シェアを高めていかなければなりません。
一方、ジェネリックが想定よりも浸透しなかった場合のリスクも考慮しなければなりません。シェア拡大を狙った値引き戦略は、次回の薬価改定で大幅な引き下げを被るため自分の首を絞めることになります。
正直に言って、行政に箸の上げ下げまで指導されるジェネリック業界の将来が明るいとは思えません。信頼できるジェネリックの供給体制を重視するといいつつ、36社に対して降圧剤アムロジピンジェネリック販売認可を与えるようでは、業界再編、秩序の維持は難しいでしょう。沢井製薬が勝ち残るためには、自助努力による業績拡大は必要最低条件であり、やはり他社との合併や企業買収による規模拡大は避けて通れないのではないでしょうか。
沢井製薬東和薬品日医工の3社は、全規格対応のためにお互いの製品を融通し合うことで合意しています。こうした緩い連携がさらに将来へ向けて発展していけば、日本のジェネリック育成に大きく貢献することは確実です。
今後、外資系のジェネリックメーカーの攻勢が強まることも確実です。現状では外資系メーカーは大きな勢力とはなっていませんが、総合力を考えればやはり脅威です。ジェネリック大手のテバが興和ジェネリック合弁事業を立ち上げるのは、日本でパートナーの力を借りながらジェネリック事業を早期に拡大させる布石でしょう。
また、国内の先発品メーカーが製造販売するジェネリックからの攻勢も強まるなか、ジェネリック専業の大手としての沢井製薬の動向に注目です。