アメリカの医薬品市場が拡大

オバマ大統領と民主党の経済対策と金融危機対応が奏功し、米国経済の回復が予想以上に早かったため、マイルドな形での医療制度改革は継続されますが、極端な医療費抑制やアンチ医薬品業界的な政策導入は見送られます。
一方で企業向けの法人減税、研究開発減税が施行されます。また知的財産権に対する保護が強まり、バイオシミラーの開発及び承認取得が難しくなります。FDA(食品医薬品局)の安全性に対する鉗子は緩みませんが、新薬申請・承認に対する通告手段が従来の承認「approve」、承認可能「approvable」、非承認「non approvable」の3方式から、承認は従来通りだが承認可能および非承認が完了報告通知「complete response letter」に一本化されたことで、事後の対応策が迅速に採れるようになりました。これは完了報告通知に承認までに必要なプロセスと手段が明記されているためです。
以前までの承認可能または非承認の判断基準が明確でないという問題点が改善されたことで、FDAによる通常審査の新薬承認に対する日数が16.4ヵ月から12か月へ短縮されました。つれて米国医薬品市場は数量ベースで年7%程度の伸びと、3%程度の値上げが受け入れられる環境が維持されます。