新薬価制度は実現するのか?

薬価制度改革案に関する中医協での議論は、あくまでも叩き台であり制度論です。厚生労働省や政治のコミットメントをどこまで得られるかが重要です。医薬品業界としては官民対話の場を最大限活用したいところでしょう。
日薬連の提案が全面的に受け入れられる可能性は20%程度ではないでしょうか。そもそも医薬品業過にとって薬価は死活問題ですが、財政面からの圧迫は避けられません。すでに厚生労働省は新薬価制度が財政ニュートラルにつながるということを肯定しておらず、薬価による引き締めは今後も続くでしょう。
ただ同省が抜本改革というの名称だけで、場当たり的な薬価の強制引き下げ、ルール変更を繰り返したことに対して、新薬価制度は一定の歯止めがかけられることが重要になります。イノベーションの評価という面からも、エグゼンプトドラッグの考えは検討に値します。
ただし新薬価制度の全面的な導入目標を2014年度とし、その間を猶予期間として長期収載品の価格を維持することが難しいでしょう。財政的にそんな余裕はありません。
そもそも今回の日薬連の提案は、大手中心の勝ち組主導の改革という正確が強いです。長期収載品の扱い方によっては、経営危機に直面する準大手・中堅企業も出てくるでしょう。そのためのモノトリアムであるとしても、5~7年先の改革では容認されないでしょう。
現実は日薬連の提案がたたき台となり、医薬品業界にとって厳しい内容となって決着を見る可能性を考えておくべきでしょう。長期収載品の薬価引き下げの前倒し、新薬価制度移行までの期間短縮などが考えられます。一つだけ言えるのは、今回は既存の薬価制度を見直す好機であり、次は簡単にめぐってこないということでしょう。