グローバルファーマ

グローバルで展開する日本の医薬品企業の理想像は、売上高2兆円、営業利益6000億円以上(営業利益率30%以上)、研究開発費5000億円(売上高研究開発費率25%)、地域別売上構成比は日本35%、欧州20%、新興国15%、ROE(自己資本純利益率)は、20%以上といったものです。
売上高2兆円規模は、現在の世界ランキングでは10番目くらいに位置します。海外売上げは欧米が自社販売中心で、新興国は自社販売とローカルパートナーの併用です。国内売上高は7000億円規模で、国内の医療用医薬品市場の金額シェア10%程度を持ちます。米国を中心とする北米市場は日本に続く収益源であり、欧州では主要国でトップ5に入れる位置につけることが重要です。
医薬品の新興国市場では、専門医療の領域が強いことが高収益を上げる条件となります。営業利益の地域別構成比は研究開発費を各地域で負担すると想定して、国内が40%、海外から60%というのが良いバランスでしょう。全体の売上高に占める自社開発品比率は80%、自社開発品を補完するために20%程度の導入品も必要です。
研究開発は領域を絞り込むことも重要ですが、抗体医薬や核酸医薬、バイオベンチャーとの共同研究などに5000億円のうちの20%くらいは支出したいところです。臨床試験が大規模化し、新薬の市場後調査の拡充などが予想されるため、研究開発費の増加は避けられません。
その資源確保のためには、やはり2兆円規模の売上高がないと苦しいでしょう。もちろん3~4兆円規模の売上高があってもよいわけですが、大型新薬が年々少なくなるなか、3~4兆円の売上げ規模を常に維持していくのは難しいのです。