IMSとクレコンは製品及び疾病領域や薬効別の分析に役立つ

 

医療用医薬品の市場規模を示すデータソースには、IMSやクレコン、厚生労働省の薬事工業生産動態統計、などが存在します。IMSとクレコンは製品及び疾病領域や薬効別の分析に有効です。
IMSは、医薬品の世界市場については唯一のソースと言ってよいでしょう。一方、クレコンは国内データに限定されますが、速報性があり使い勝手が良いです。
薬事工業生産動態統計は、厚生労働省からの公的なデータであり、時系列的で理解しやすい内容となっています。ただし発行時期が遅いのが欠点です。
2007年度の日本の医療用医薬品市場規模は薬価ベースで6.8兆円と推定されます。過去10年間の実勢はほぼ横ばいですが、依然として単一国としては米国に次いで世界第2位の規模です。
ただし米国市場は30兆円に迫る規模になっており、スローダウンしつつあるとはいえ年率1ケタ台後半の伸びが予想されます。また、人口数を見れば遠くない将来に中国やインドなどが台頭してくることは確実です。
クレコンの薬効分類別のデータによると、国内で売上げ規模が最大なのは血圧降下剤で、2006年度の売上げは5524億円、前年度比で約7%増でした。
続いて糖尿病治療剤などの代謝性医薬品が3982億円、同1%増、高脂血症用剤が2662億円、同2%増となっています。やはり、生活習慣病やストレスに関連する疾病の治療薬が上位を占めています。
また、うつ病が社会的に認知され始めたことを映して、精神神経用剤の需要が伸びていることや、癌患者の増加により抗癌剤腫瘍用薬が前年度比10%台の伸びを示しています。
企業別の売上高ランキングは、武田薬品工業が国内最大手の座を維持しています。クレコンの集計では、武田薬品工業の2006年度の国内売上高は5520億円、同5.7%増となっています。2007年度は合併したアステラス製薬第一三共が2、3番手につけて武田を狙う展開です。
過去5年間で目立つのは、外資系医薬品企業の躍進です。中外製薬外資系にカウントすると、上位10社のうち4社が外資系医薬品企業です。アストラゼネカサノフィ・アベンティス等も上位10社入りを果たす可能性が高いです。欧米で開発し発売された製品を有する外国外資系医薬品企業の優位性と存在感は確実に高まっています。