生き残るためにはアンメットメディカル・ニーズの充足が不可欠

医薬品産業が規制産業であることに異論はないでしょう。2007年に厚生労働省が発表した新医薬品産業ビジョンは、国は強力を惜しまないが、最後は産業界の努力次第と突き放したものです。しかも、国の協力は不可欠であり、新医薬品産業ビジョンで掲げられた国…

IMSとクレコンは製品及び疾病領域や薬効別の分析に役立つ

医療用医薬品の市場規模を示すデータソースには、IMSやクレコン、厚生労働省の薬事工業生産動態統計、などが存在します。IMSとクレコンは製品及び疾病領域や薬効別の分析に有効です。IMSは、医薬品の世界市場については唯一のソースと言ってよいでしょう。一…

医薬品企業が保有すべき現預金の水準

日本の医薬品セクターに共通する資本効率の低さ=ROE(自己資本純利益率)水準の低さですが、要するに現預金を積み上げている経営姿勢に対する批判でした。ここで、合えて表現に過去形を用いたのは、2007年11月以降エーザイ、武田薬品工業、第一三共が海外企業…

協和発酵キリン

協和発酵工業が2007年にキリンホールディングスの傘下入りで合意し、2008年4月にキリンファーマの子会社化し、同10月に正式にキリンファーマと合併して、協和発酵キリンが発足しました。協和発酵キリンのスローガンは、抗体医薬を中核としたワン・アンド・オ…

糖尿病治療剤アクトスと消化性潰瘍治療剤プレバシッドの売上げが減速

武田薬品は自他ともに認める業界最大手です。タケダイズム=誠実を求心力にしてグローバル展開を加速させています。2008年5月に88億ドルでミレニアム・ファーマスーティカルズの買収を完了し、合弁会社であったTAPと米国子会社TPNAの合併も完了しました。こ…

沢井製薬

沢井製薬はジェネリック最大手です。ただそれは日本国内だけのことで、海外のジェネリックメーカーとの経営規模の格差は、メジャーリーグと高校野球の差以上にあるでしょう。それだけ国内では、ジェネリックは長らく日陰の存在であったと言えます。そのジェ…

大正製薬

大正製薬はOTC(大衆薬)分野での売上げは国内第1位です。医家向けの医療用医薬品の対岸にあるのがOTCです。大正製薬はOTCについて「セルフメディケーション」という表現を用いていますが、これは予防や自己管理という意味を含むのでしょう。軽い風邪ならばOTC…

塩野義製薬

塩野義製薬は2008年9月に米サイエル社を約14億度のTOB(株式公開買付け)で買収しました。サイエルの買収は米国における販売機能獲得を狙ったものです。将来的にサイエルの販路に加わる塩野義製薬の新製品は、フェーズⅡ段階にあるアトピー性皮膚炎治療剤「S-77…

アステラス製薬

アステラス製薬は、2005年に当時の売上高で業績3位の山之内製薬と同5位の藤沢薬品工業が合併して誕生しました。医薬品業界初の国内大手同士の合併として注目された一方、合併後に国内販売の低迷や製造原価の上昇に加え、新薬開発パイプラインが劣化したため…

ヘルベッサーのバルク輸出と売り上げロイヤルティー

医薬品企業の収益の源泉は新薬であり、新薬開発が難しくなる中で医薬品企業のビジネスモデルはますますハイリスク・アイリターンになっていきます。日本の医薬品企業の収益構造がどのように変化してきたかの見てみましょう。過去10年間、ビジネスモデルが大…

日本の治験は評判が悪い

外資系メーカーの対日進出についてですが、すでに世界のトップ10クラスのメーカーは、日本市場で国内の準大手クラス以上の陣容を販売と開発面で備えています。したがって、大手外資系メーカーが国内医薬品企業を買収するメリットはほとんどありません。外資…

武田薬品

今日、日本企業が海外で企業買収を仕掛けるケースは珍しくありません。しかし一方で買われる可能性も否定できません。特に医薬品企業の中で高水準の現預金を保有する資本効率が悪く、株価が過小評価されていれば、格好の買収ターゲットとなります。この場合…

グローバルファーマ

グローバルで展開する日本の医薬品企業の理想像は、売上高2兆円、営業利益6000億円以上(営業利益率30%以上)、研究開発費5000億円(売上高研究開発費率25%)、地域別売上構成比は日本35%、欧州20%、新興国15%、ROE(自己資本純利益率)は、20%以上といったもので…

中外製薬

中外製薬はロシュ傘下に入り、新薬開発パイプラインの充実度は他社の追随を許さぬレベルに達しました。2007年にロシュから導入した分子標的薬剤と呼ばれる抗癌剤アバスチンとタルセバ(肺癌)を国内で発売し、2008年~2009年にかけて米国で中外製薬が開発したヒ…

分子生物学

高等動植物のみならず、細菌にも感染するウイルスがあります。このウイルスを(バクテリオ)ファージといいます。ファージ感染の解析とファージ核酸の研究が分子生物学の発展に大きな貢献をしたことはよく知られています。一般にある供与菌でファージを増殖さ…

儲けた製薬企業

1999年3月末から実施された大衆薬分野での「規制緩和」によって、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)などの新規チャンネルでの売上を伸ばした製薬企業は万々歳だった。が一方、コンビニに客を獲られた薬局・薬店は不平たらたらである。 それまでドリン…

新薬開発の成功率が低下した理由

欧米には売上高4兆円を超えるファイザーやグラクソ・スミスクラインなどのメガファーマが存在します。これらのメガファーマは、従来からのビジネスモデルを維持することが難しくなっています。 現在は新たなビジネスモデルを模索し、次の段階を目指すための…

プロテウス・ミラビリスとセラチアは全菌株がテトラサイクリン耐性

テトラサイクリン体制を支配するプラスミドはかなりの頻度で存在し、発現する耐性は非常に高いです。主なる耐性機構は、膜タンパクの新生や変化によって菌体内からテトラサイクリンが排出され、そのため菌体内の濃度が抗菌作用を示しうる濃度にまで達しない…

大腸菌と志賀赤痢菌は共通の毒素をもつ

北米において1978年から5年間に下痢患者から分離した2000株以上の大腸菌から58株の細胞毒性を示す株が検出されました。その70%がO125K60H11で、O157H7はこれに次いで2番目に多い細胞毒性を示す血清型でした。1982年11月に、米国のオレゴン州、ミシガン州に…

生活習慣病薬の開発競争

生活習慣病はかつて成人病といわれていた疾患だ。「成人になってから発症する」と誤解されるため、厚生省がこの名称に変えた。つまり小中学生での肥満、糖尿病が増加の一途を辿っているからである。 生活習慣病とは、高血圧症、高脂血症(高コレステロール)…